- 【この記事を書いた人】ふくふく動物病院 院長平松育子(獣医師)京都生まれ。山口大学農学部獣医学科卒業。
“たくさんの笑顔のために”をモットーにあなたの大切な家族の健康を守ります。
犬の歯周病の原因
①歯みがき不足
人間の場合と同様に、犬も歯磨き不足が原因で歯周病を発症することがあります。
そもそも犬の歯周病とは、「歯肉(歯の根元を覆う上皮組織)」や「歯槽骨(歯と歯肉の間にある溝部分)」「歯根膜(歯と歯槽骨の間にある繊維状の組織)」といった歯の周りの組織が細菌により炎症を起こした状態のことを指します。口の中の衛生状態が良ければ細菌の増殖も進行しませんが、例えば食べかすが歯や歯の間に付着していると細菌がそれらを栄養源として摂取して増殖していき、歯垢となり周囲の組織に炎症を引き起こすようです。
②口の中に傷ができている
尖ったものや硬いものを食べると歯茎に傷がつくことはありませんか?犬も同じように歯茎に傷がつくと、傷口が炎症を起こし「歯肉炎」を引き起こすことがあります。
歯肉炎はしっかりとケアすれば元通りに治すことも可能ですが、放っておくと歯肉が腫れてしまい、出血を伴うことがあるそうです。さらに歯肉から歯槽骨、歯根膜まで細菌が浸食していくと歯周病が悪化し、完治が難しくなる可能性も高くなってきます。
③小型犬は歯周病になりやすい
犬種によって歯周病の症状の程度には違いがありますが、一般的に小型犬の方が歯周病になりやすいと言われています。また、フレンチブルドックやボストンテリアといった「短頭種」と呼ばれる犬種の場合、比較的上顎が短いという特殊な構造から、上顎にある犬歯が何本か横向きに生えてしまっているため歯周病の進行が速いそうです。
さらにボルゾイやイタリアングレイハウンドといった長頭種に分類される犬種は比較的切歯の間隔が短いため、歯周病が重症化しやすいことが分かっています。
歯周病の対策
①歯みがきをしっかりしてあげる
犬の歯周病対策として最も重要なことは歯磨きです。毎日歯磨きをしっかりと行うことで歯周病の元となる細菌を除去し、歯垢の増加を防ぐ効果が期待できます。
とは言っても、歯磨きが嫌いなワンちゃんも多いですよね。もしどうしても愛犬が歯磨きを嫌がる場合は、歯磨きシートや指にはめるタイプのものを使ってワンちゃんの歯をこするだけでも歯磨き効果は見込めます。
犬の歯垢は1日程度で形成され、2~3日後には歯石へと変わってしまうので、1日1回以上は歯磨きを行うようにしましょう。
②歯みがきは苦手な子にはデンタルサプリメントを
歯磨きや口に触られるのを極端に嫌がるワンちゃんも少なくはないようです。もし上記で説明したような歯磨きシートを使用しても歯磨きができない場合は、デンタルガムやデンタルサプリメントなどを与えてみてください。
こういったデンタルグッズのなかには歯周病対策として高い効果を謳っているものもありますが、実際には口内環境を多少改善してくれる程度のものがほとんどです。基本的には歯磨き程の効果は見込めないので、もしデンタルグッズのみで日常的な歯周病対策を補うのであれば、定期的に動物病院で口内の検診を受けるようにしましょう。
トイプードルの歯周病に関する質問
犬種 | 年齢 | ドッグフード |
トイプードル | 10歳 | サイエンスダイエット |
10歳になるトイプードルの口臭が最近強くなってきました。最初は歳もとってきたので年齢によるものだろうと思っていたのですが、口臭だけでなくよだれも増えてきたので心配になり、インターネットで調べてみたところ犬の歯周病の症状に当てはまるものが多くありました。
犬の歯周病を改善させるにはどんなことをすれば良いのでしょうか?今は1日2回、慣れ親しんだドッグフードを与えているのですが、何か食べさせてはいけないものや逆に治療に役立つ食材など、食生活で気を付けるべきことがあれば教えて下さい。