市販されているドッグフードの多くには、添加物が使用されています。
ですから、ドッグフードを購入する際には原材料の欄をしっかり見て、合成の添加物が入っていないかどうかを確認しましょう。
ドッグフードに含まれている添加物はどんなもの?
ドッグフードに使用される添加物は大きく3つの種類に分けられます。
(1)品質の劣化を防ぎ美味しい状態をキープする酸化防止剤や保湿剤
(2)ドッグフードの味や見た目を良くする香料や着色料、調味料
(3)栄養バランスを満たすビタミンやミネラルなどのサプリメント
(1)品質を保持するための添加物の成分とは?
品質の劣化を防ぐ添加物は、人工的に合成したタイプと天然素材を使ったタイプの2種類に分かれます。
合成添加物には、BHTやBHA、エトキシンといった酸化防止剤、そして保湿剤や防カビ剤として用いられるプロピレングリコールなどがあります。一方、天然素材を使った酸化防止剤にはミックストコフェノール、アスコルビン酸、クエン酸、カテキンなどがあります。
合成添加物
BHT(ジブチルヒドロキシトルエン) | BHTは値段が安いので、繊維加工剤や接着剤などに広く使われています。
以前は、マーガリンや魚介の冷凍品、チューインガムなどの食品にも使われていましたが、毒性が強く発がん性が指摘されたことから、人間用の食品には使われなくなりました。 ドッグフードについてもBHTを使っているものはかなり少なくなりましたが、使用が禁止されているわけではないので、いまだに使用されている商品もあります。 |
BHA(ブチルヒドロキシアニソール) | もともとはガソリンの酸化防止剤として作られた物質でBHTよりも安全だと言われたことから人間用の食品にも広く使用されていました。
しかしこちらも発がん性が指摘されたため、現在は食品への使用が制限されています。 ドッグフードについては、使用量の制限はあるものの完全に禁止しているわけではないので、いまだに一部の商品に使われています。 |
エトキシキン | もともとはゴムを固定するための薬剤として作られた物質で、除草剤として使われるなど非常に毒性が強いのが特徴です。
こちらも発がん性が指摘されているものの、ドッグフードへの使用は完全に禁止されておらず、決められた使用量を守れば使用できることになっています。 |
プロピレングリコール | こちらは、半生タイプのドッグフードによく使用されている物質で、乾燥を防ぎカビの発生を防止できることから、人間用の食品にも使われています。
しかし、プロピレングリコールは発がん性や赤血球にダメージを与える可能性が指摘されているため、猫用のフードには使用が禁止されています。 |
このように合成の添加物を見てみると、怖くなってきますよね。
決して使用禁止とはなっていませんが、愛犬の体には取り込むとなると心配になりますので、飼い主さんがしっかりと見極め、これらの合成添加物が入ったドッグフードの使用については適切な判断が必要になります。
参考までに天然由来の添加物は以下の通りとなります。
天然由来添加物
ミックストコフェノール | こちらは聞きなれない名前ですが、ビタミンEのことです。
植物性オイルから採取されているため、犬の体にも安全な成分です。 |
アスコルビン酸 | アスコルビン酸はビタミンCのことで、お茶やジュースなど人間用の食品にも使われています。
こちらは、とうもろこしやジャガイモなどのでんぷんを化学的に合成して、ぶどう糖などに変換して生成します。 |
クエン酸 | クエン酸はレモンや梅などに含まれる酸味成分で、人間用の食品の㏗調整剤としても用いられています。 |
ローズマリー抽出物 | ハーブの一種であるローズマリーには抗酸化作用があるため、ドッグフードに含まれる動物性油脂の酸化を防ぐことができます。 |
カテキン | ハーブの一種であるローズマリーには抗酸化作用があるため、ドッグフードに含まれる動物性油脂の酸化を防ぐことができます。カテキンは緑茶に多く含まれているポリフェノールで、渋味や苦味のもとになる成分です。
抗酸化作用や殺菌作用があるため、ドッグフードにもよく使われています。 |
天然素材の酸化防止剤は犬の体への害が少なく安全性が高いことが分かります。
しかし、残念ながら合成の酸化防止剤に比べると、効果が短いというデメリットがあります。
ドッグフードに含まれる油分が酸化すると犬の体に悪影響を与えますので、天然の酸化防止剤だから安全とは必ずしも言い切れないのです。
ドッグフードの酸化を防ぐには、開封後に出来るだけ早く消費したり、空気に触れないように保存したりといった工夫が必要です。
(2)味や見た目を良くするための添加物とは?
ワンちゃんの食いつきを良くするためや、ドッグフードの色を鮮やかにして美味しそうに見せるために、さまざまな添加物が使われています。
食いつきを良くする添加物
ワンちゃんは美味しそうな香りがすると食いつきが良くなりますので、チキンフレーバーやチーズフレーバーなどの香料や風味料が使われています。
他にも、塩や砂糖、チキンエキスといった調味料が添加されることもありますが、塩分や糖分は摂り過ぎると健康を害する可能性があります。
そもそもドッグフードに使用している原材料が新鮮で高品質であれば、香料や調味料を添加しなくても十分食いつきが良くなるはずです。
つまり、添加物が必要ということは原材料の質が低い可能性があることを意味しているのです。
ドッグフードの見た目を良くする添加物
一部のドライフードや缶詰のウェットフード、犬のおやつなどには、見た目を鮮やかに見せるための着色料や発色剤が使用されています。
原材料欄に、着色料は「赤色1号」や「赤色106号」などと表記され、発色剤は「亜硝酸ナトリウム」や「亜硝酸塩」と書かれています。
「亜硝酸ナトリウム」や「亜硝酸塩」は人間用のハムやソーセージなどにも使われていますが、毒性が強く継続的に摂取すると発がん性の危険もありと言われています。
見た目を良く見せるための添加物は犬にとっては全く必要なものではなく、むしろ病気のリスクを高める可能性の方が大きい感じがしますよね。ですので、できれば避けたいところです。
(3)栄養バランスの満たすためのサプリメントとは?
ドッグフードは総合栄養食なので、栄養バランスを完璧に満たさなければいけません。
食材が持っている栄養素だけでは必要な栄養素を補うことを目的に、合成のビタミンやミネラルなどのサプリメントを添加しているドッグフードがあります。
しかし、本来は食材が持っている栄養素から補給するのが理想的です。
多くのドッグフードは短時間に高温で調理しているため、食材本来の栄養素が損なわれてしまいますが、低温でゆっくり時間をかけて調理すれば、ビタミンや酵素などを生きたまま配合することもできるのです。
また、生産段階から農薬や化学肥料を使わずに育てたオーガニック食材であれば、含まれる栄養価もぐんとアップします。
オーガニック食材をふんだんに使用したドッグフードや、低温調理で栄養価を損なわずにキープしているドッグフードもありますので、出来れば合成のサプリメントに頼らないものを選ぶ方が安心できますよね。
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以上、代表的な添加物について紹介しましたが、その他にもさまざまな種類の添加物がありますので、原材料を見てもどれが添加物なのかわかりにくい場合はお店の人に確認するか、メーカーに直接問い合わせてみるとよいかと思います。